【タイトル】

「卒業おめでとうございます」~校長式辞より~

【本文】

  春の恵みを運ぶ小雨のそぼ降る今日のよき日に、江東区教育委員会事務局放課後支援課長 遠藤幸男様、江東区土木部道路課長 中尾英樹様、江東区議会議員 白岩忠夫様をはじめ、日頃より温かいご支援いただいている多くの地域、学校関係者の皆様、そして保護者の皆様にご臨席いただき、江東区立浅間竪川小学校第十六回卒業式を挙行できますことを、心より厚くお礼申し上げます。  さて、第十六回卒業生として本校を巣立ちゆく百十四名の皆さん、卒業おめでとうございます。今、一人一人に手渡した卒業証書は、皆さんの六年間の成長の証しであり、この学び舎での学業を修めたことを意味しています。卒業証書を受け取る皆さんの表情は、喜びに満ちあふれ、希望に輝いていました。そして、皆さん一人一人のまさに凛とした態度に、未来を切り拓いていこうとする強い決意を感じています。  しかし、皆さんが立派に成長し、今日の日を迎えることができたのは、自分一人の力だけではありません。人は決して一人では生きていけないということを、私はあなたたちに伝えてきました。幼い頃からあなたの成長を心から願った家族、そして共に学んだ仲間、今日ここに集い、皆さんの卒業を心から祝福してくださる多くの人々の支えがあったからこそ、今があるのだということを決して忘れないでほしいと思います。  私はこの一年間、皆さんの活躍を見つめてきました。最高学年として下級生への素晴らしい手本となりました。数々の学校行事を重ねるごとに力を付け、自信をもち、友情を深めてきました。  あの大雨に見舞われた日光移動教室、皆さんにとっても忘れられない思い出の一つでしょう。音楽会、「この地球のどこかで」皆さんの歌声に深い感動を覚えました。そして「木星(ジュピター)」あの難しい曲に挑み、見事な演奏を成し遂げたあなたたちの姿に、私は言葉を失いました。いつの時代にあっても、音楽は人の心をつなぎ、人の心を一つにする、心を合わせることなくして美しいハーモニーは生まれない、私は日頃からそう思っています。  皆さんがこの後、歌う中に「旅立ちの日に」という曲があります。今日のはなむけに、この「旅立ちの日に」について少し話をします。  勇気、希望、そして夢、歌に込められた熱い思いは、私たちの心に響きます。全国の多くの小・中学校の卒業式で歌われているこの曲は、実は二十五年前、埼玉県の影森中学校という小さな学校で生まれました。 「歌は心を健やかにする」当時、校長として赴任された小島登先生の信条でした。「歌声の響く学校にしよう」そう考えた小島先生は、音楽の坂本浩美先生と一緒に、それまで一つになれなかった生徒たちの心を歌の力で開き、そして動かし、やがて活気あふれる学校へと変わってゆきました。  ある年の二月、坂本先生は卒業していく生徒たちのために歌を贈りたいと考え、小島校長先生に作詞をお願いします。そのとき小島先生は断りましたが、次の日の朝、坂本先生の机には歌詞が置かれていました。先生はすぐに音楽室に駆け上がりピアノに向かいます。その詩の素晴らしさに深い感銘を受け、曲がみるみる湧き上がり、わずか十五分でこのメロディを作られたそうです。  こうして、はじめは、とある中学校の先生方が生徒たちのために歌った歌が、やがては全国の学校の卒業式で歌われるようになりました。 「意味もないいさかいに 泣いたあの時、心通った嬉しさに抱き合った日よ」 「勇気を翼にこめて、希望の風にのり、このひろい大空に 夢をたくして」  まさに、小学校から旅立っていく皆さんにふさわしい曲です。ぜひ心と心をつなぎ、心を一つに、あなたたちの明日への決意を、これまで支えてくださった皆さんに伝えてほしいと思います。  結びに当たり、保護者の皆様に一言お祝いを申し上げます。お子様のご卒業、誠におめでとうございます。お子様が立派に成長された姿を目の当たりにされ、その喜びはひとしおのことと拝察いたします。ぜひ今日は、ご家庭で喜びを分かち合い、明日からの中学校生活につなげていただければ、うれしい限りです。そして、皆様には、今日まで浅間竪川小学校を温かく見守り、しっかりと支えていただきましたことに、心より厚くお礼申し上げます。  さあ、卒業生諸君、いよいよ浅間竪川小学校を旅立つときがきました。あなたの前に道は開けます。これまでの、そしてこれからの出会いを大切に、一歩一歩しっかりと自分の道を歩んでいきなさい。あなたたちを信じています。  以上をもって、式辞といたします。  平成二十八年三月二十四日  江東区立浅間竪川小学校長   北島 陽彦  


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