【タイトル】

「卒業おめでとうございます」~校長式辞より~

【本文】

     やわらかな日差しが春の訪れを感じさせる今日、江東区教育委員会事務局江東図書館長 保谷俊幸様、江東区オリンピック・パラリンピック開催準備担当課長 星名剛様、江東区議会議員 白岩忠夫様をはじめ、日頃より温かくご支援いただいている多くの地域、学校関係者の皆様、そして保護者の皆様にご臨席いただき、江東区立浅間竪川小学校第十七回卒業式を挙行できますことを、心より厚くお礼申し上げます。  さて、第十七回卒業生として本校を巣立ちゆく皆さん、卒業おめでとうございます。今、一人一人に手渡した卒業証書は、皆さんの六年間の成長の軌跡であり、この学び舎での学業を修めたことを意味しています。卒業証書を受け取る皆さんの表情は、喜びにあふれ、希望に輝いていました。皆さん一人一人のまさしく凛とした態度に、今、私は、未来を切り拓いていこうとする強い決意を感じています。  しかし、皆さんが立派に成長し、今日の日を迎えることができたのは、自分一人の力だけではありません。人は決して一人では生きていけないということを、私はあなたたちに伝えてきました。幼い頃からあなたの成長を心から願った家族、そして共に学んだ仲間、今日ここに集い、あなたの卒業を心から祝福する多くの人々の支えがあったからこそ、今があるのだということを決して忘れてはなりません。  私はこの二年間、あなたたちの成長を、そして活躍を見つめてきました。あなたたちはいつも明るく活気あふれる、本当にすばらしい『せんたてっ子』であり、互いに支え合い、高め合ってここまで来たことを心から誇りに思っています。  日々の学校生活から伝わった明るさと活気、数々の学校行事で発揮したたくましさ、授業に取り組む姿に映った真摯さ。ときには羽目を外すことはあったけど、言葉では言い尽くせない良さとその限りない可能性を、私はいつも心から頼もしく感じていました。あなたたちは紛れもなく下級生への素晴らしい手本でした。  今週、あなたたちに谷川俊太郎さんの「生きる」について、ほんの少しの時間だけ授業をしました。四クラスそれぞれ、真剣に向き合ってくれて、うれしく思いました。今日のはなむけに、この「生きる」という詩について、もう少しだけ話をします。   生きているということ   いま生きているということ   それはのどがかわくということ   木もれ日がまぶしいということ 「生きている」ということ、命というテーマを、何気ないありふれた日常を起点に、分かりやすいな言葉でうたっています。今から六年前、あなたたちが小学校に入学する直前に、あの東日本大震災が起こりました。多くの人々の尊い命を一瞬にして奪ったあの震災の後、四〇年以上も前に作られたこの一編の詩が、傷ついた人々の心を癒すようにあちこちで読み返されたそうです。未曽有の災害に見舞われ日本中の人々の心が暗い闇に覆われていた頃、四月に入学したあなたたちは希望の光だったと言えるでしょう。  この「生きる」という詩には、「生きる」ということがどのようなことなのかという様々な事象が次々と述べられています。私たち人間の何気ない日常、雄大な自然、人間が創り出した芸術や文化、喜怒哀楽という感情、私たちを含めた広い世界、それらの全てが「生きている」ということにつながっている、生きるということがここに存在しているということを描いているのです。  このような日常からこの大きな地球へと無限に広がっている「生きる」ということ、あなたがこの世に生を受けて、命を育んでいることの意味を、今、あらためて考えてほしいと思います。   人は愛するということ   あなたの手のぬくみ   いのちということ  あなたもあなたの周りにいる人々もかけがえのない存在であり、「愛する」ということで、これまでも、そしてこれからも生きていくということがうたわれています。  小学校卒業というこれから続く長い人生の節目の時に、まさに今、ここに、そして共に生きていることのすばらしさをあらためて実感し、この一瞬一瞬の時を大切にし、喜びとして、これからを力強く生きてほしいと、私は心からそう願っています。  結びに当たり、保護者の皆様に一言お祝いを申し上げます。お子様のご卒業、誠におめでとうございます。お子様が立派に成長された姿を目の当たりにされ、その喜びはひとしおのことと拝察いたします。ぜひ今日は、ご家庭で喜びを分かち合い、明日からの中学校生活に、今後の成長につなげていただければ、私ども教職員一同にとってこの上ない喜びです。そして、皆様には、今日まで浅間竪川小学校を温かく見守り、しっかりと支えていただきましたことに、心より厚くお礼申し上げます。ありがとうございました。  さあ、卒業生諸君、いよいよ浅間竪川小学校を旅立つときがきました。あなたの前に道は開けます。これまでの、そしてこれからの出会いを大切に、一歩一歩しっかりと自分の道を、愛あふれる道を歩んでいきなさい。あなたたちを信じています。  以上をもって、式辞といたします。   平成二十九年三月二十四日   江東区立浅間竪川小学校長    北島 陽彦


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